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腎臓内科
腎臓内科とは
腎臓内科は、腎臓に関わる病気を内科的に診断・治療する診療科で、血尿やたんぱく尿が続く方や、腎機能が低下した方などを対象に診療いたします。
当院では、健診などで尿の異常を指摘された(尿潜血、たんぱく尿など)方をはじめ、慢性腎臓病(CKD)、腎不全、糖尿病性腎症、高血圧性腎硬化症、糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、多発性嚢胞腎などの診療を行います。
腎臓内科の扱う主な症状・対象疾患
尿潜血
尿中に赤血球が混じるのは、主に腎臓や尿管、膀胱、および尿の通り道(尿路・尿道)に何らかの異常が起きている場合です。疲労などからくる一過性で害の無い尿潜血もありますが、尿潜血を指摘されたら医療機関を受診し、原因を明らかにしましょう。
たんぱく尿
たんぱく尿の原因としては、急性腎炎や慢性腎炎などの腎臓に限局した病気と、糖尿病、膠原病(こうげんびょう)、高血圧など、全身の病気の一部として腎臓に障害が起きる場合があります。原因によって治療法が異なりますので、診断が必要になります。
慢性腎臓病(CKD)
慢性腎臓病とは、慢性に経過するすべての腎臓病を指します。あまり耳にしたことが無いかも知れませんが、実は1,330万人(20歳以上の成人の8人に1人)もの患者がいると言われ、新たな国民病とも見られています。(CKD診療ガイド2012)
生活習慣病(高血圧、糖尿病など)や、メタボリック症候群との関連性も強く、誰もがかかる可能性のある病気です。腎臓は体を正常な状態に保つ重要な役割を担っているため、慢性腎臓病によって腎機能が低下し続けると、心臓病や脳卒中、透析導入などさまざまなリスクが生じてきます。
腎不全
腎不全とは腎機能が低下して、正常に働かなくなった状態です。
腎不全には急性腎不全と慢性腎不全があります。
急性腎不全は、何らかの原因によって腎機能が急速に低下し、老廃物がうまく排出されなくなった状態です。治療は、急性腎不全となった原因に対するものと、腎不全から改善するまでの腎不全期の管理の2つから成ります。
一方の慢性腎不全では、慢性の腎臓病が徐々に悪化し、腎機能は低下していきます。慢性腎不全が進行して末期腎不全の段階に至ると、腎機能が極度に低下し、そのままでは生命を維持できなくなるため、腎臓の働きを補う人工透析、あるいは根治療法である腎移植が必要になります。
糖尿病性腎症
糖尿病の合併症の一つで、尿をつくる腎臓の糸球体という部分の毛細血管が悪くなり、だんだんと尿がつくれなくなる疾患です。やがては「人工透析」と言って、機械で血液の不要な成分を濾過し、機械で尿をつくらなければならなくなったりします。現在、人工透析になる原因の1つが、この糖尿病性腎症です。
高血圧性腎硬化症
高血圧性腎硬化症とは、高血圧を原因とする腎障害です。高血圧が長い期間にわたって続くと、腎臓の血管に動脈硬化が生じてきます。この動脈硬化のために血管の内腔が狭くなり、腎臓を流れる血液量が減少してしまうので、腎臓は萎縮して硬くなり、その機能も低下をきたします。これが高血圧性腎硬化症です。現在、日本の透析導入原因の第3位となっており、患者さまの高齢化などにより増加する傾向がみられます。
高血圧性腎硬化症の治療の中心は、やはり血圧コントロールであり、そのためには生活習慣の改善や降圧薬による治療が必要です。こうした高血圧の治療とともに、並行して定期的に血液・尿検査による腎機能評価を行うことも、この疾患を進行させないための重要なポイントになります。
糸球体腎炎
腎臓の濾過装置である糸球体に炎症が生じるによって、たんぱく尿や血尿が出る疾患を総称して糸球体腎炎と言い、その主なものに急性糸球体腎炎と慢性糸球体腎炎の2種類があります。
急性糸球体腎炎は、咽頭炎や扁桃炎などの感染症(主にA群β溶連菌によるもの)の1~3週間後に血尿・たんぱく尿、尿量減少、むくみ、高血圧で発症する一過性の急性腎炎症候群です。小児や若年者に多い疾患ですが、成人や高齢者にもみられます。治療としては、安静、保温のほか、水、塩分、たんぱく質の摂取制限が行われます。また、急性期には溶連菌感染に対する抗生物質の投与、高血圧に対しては降圧薬と利尿薬が使用されることもあります。ほとんどのケースで、後遺症も無く緩和されます。
慢性糸球体腎炎(慢性腎炎)は、たんぱく尿や血尿が長期間(1年以上)持続するものを言います。原因としては、免疫反応の異常によるものが多いと考えられています。症状としては、たんぱく尿や血尿のほか、高血圧、めまい、肩こり、むくみ、頭痛、倦怠感などが現れます。治療の基本は、降圧薬や抗血小板薬などによる薬物療法と食事療養(塩分制限・たんぱく制限など)です。大量のたんぱく尿が出るタイプでは副腎皮質ステロイド、免疫抑制薬が必要となる場合もあります。血圧のコントロールに努め、症状の悪化を防ぎます。また、競技スポーツなどの激しい運動や過労を避けるようにします。
ネフローゼ症候群
腎臓病のなかで、大量のたんぱく尿が出るタイプをネフローゼ症候群と言います。尿の泡立ちが見られ、血液中のたんぱくが減り(低たんぱく血症)、その結果、むくみ、体重増加、だるさなどが起こります。子どもの発症が多いのですが、大人にも起こります。ネフローゼ症候群の診断にあたっては、一般に腎生検を含めた詳細な検査が行われます。
たんぱく尿以外の主な症状としては、低たんぱく(アルブミン)血症(血液中のたんぱく質・アルブミンが低下する)、高コレステロール血症、むくみのほか、泡状の尿や食欲不振、倦怠感、腹痛、水溶性の下痢症状などが出ることもあります。
大量のたんぱく尿が長期間続くと腎機能が悪化するため、長期間にわたって尿たんぱくを減らす治療を継続する必要があります。
多発性嚢胞腎
多発性嚢胞腎とは、腎臓に嚢胞(水が溜まった袋)が数多くできて、腎機能が徐々に低下していく遺伝性疾患です。
この病気の症状は多くの場合、成人になってから出現します(小児期から高血圧などを合併することもあります)。
原因は、遺伝子の異常が原因で、両親いずれかからの遺伝により、発病します。
症状は、初期のうちは無症状ですが、次第に嚢胞が増えて腎臓全体が大きくなり、お腹が張ってきます。すると腎機能が悪くなり、食欲低下、疲れやすい、だるい、息切れなどの症状が現れてきます。また肝臓にも嚢胞ができ、高血圧を合併することも少なくなく、脳出血を起こす頻度も高くなります。腎機能は少しずつ低下して、やがては腎不全となり、透析療法が必要となります。
治療法についてですが、V2受容体拮抗薬という薬で腎蔵の嚢胞が大きくなることを防ぎ、腎機能が悪くならないようにします。ただ、これは多発性嚢胞腎の一部の患者さまについてしか明らかではありません。